新型コロナウイルスはさまざまな分野に影響を及ぼしています。
テレビの報道番組やワードショーでは、国民への一律給付や飲食店などの営業自粛による保障がメインに取り沙汰されているように見えますが、学業の場にも深刻な影響をきたしています。
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学生たちの悲鳴の声
コロナウイルスの影響で、各大学では学内への立ち入りを禁じる動きが出ています。キャンパス閉鎖の長期化をにらみ、大学側は、授業のオンライン化を進めようとしていますが、問題は山積みです。
では、具体的にどんな問題があるのでしょうか?
SNS上であげられている学生たちの声を中心に、紹介していきます。
①学内施設が使用できないなど学内閉鎖による問題
図書館も使えなければ、学内のWi-fi、コピー機も使用できない。にも関わらず、学費は変わらずいつも通り請求がきている。
閉鎖により、大学の設備をまったく使用できないにも関わらず、学費は普通に請求される。そんな状況では、不満が出るのも無理もないかもしれません。大学によっては、学費の内訳として「施設設備費」という項目を設けているところもあるようなので、なおさら満額請求に疑問が湧き上がるのも当然でしょう。
修士論文のための研究を進めたいが、大学に入れない。すでに就職活動をして内定をもらっているが、このままだと修士論文を仕上げられず卒業できない。こうなると、就職もできなくなってしまう。
これも深刻な問題です。もっともこれは大学側だけの問題ではなく、企業もなんらかの支援策(内定の延長など)があっても然るべきかもしれません。ただ、企業もこのコロナ不況で採用人数を減らしたり、内定取り消しまでしているところもあります。みんなが被害者という状況においてみんなによっての最適解を探っていかなければなりません。
(音大生の声)思いきり声や楽器を弾ける防音室に入れない。ピアノも弾きに行けない。
美大や音大、実験が中心の理系など、実技が命の学生にとっては、学内閉鎖は致命的といえるでしょう。
#春から○○
新学期早々に大学が閉鎖されたいま、新入生たちは「#春から○○(大学名) 」というハッシュタグで、友達づくりをしようとしています。このタグ自体は目新しいものではなく、またSNSで友人を増やすこと自体はもちろん悪いことではありません。ただ、コロナ下において友人作りや授業への不安を抱えたうぶな新入生につけ入ろうとする怪しいアカウントも見受けられるので注意が必要です。
なお、大学は、授業だけでなく、放課後や部活・サークル活動などでの交流においても、多くの学びや発見(人との出会い等)を提供してきたはずです。現在は、こうしたオフラインならではの恩恵にアクセスできなくなってしまっているのも、この学内閉鎖が引き起こしている問題でもあります。
居場所をなくした学生たち
これは数は少ないかもしれませんが、みんなが知っておくべき問題でもあります。
大学だけでなく、公共の図書館やネットカフェ、カラオケなども閉鎖している中、家庭内でトラブルを抱えた学生たちは居場所を失ってしまっています。家庭内のトラブルとは、例えば、親から虐待を受けている学生たちです。アルバイトも一つの逃げ場でしたが、コロナの影響でシフトを入れられません。
大学のカウンセラーや職員も在宅勤務になり、そうした学生への支援も手薄になる中、彼らを支える体制構築も急務となっています。
参照:「チャット相談から浮かぶ「コロナ緊急事態」下の苦境(上)居場所を失う「外出せざるを得ない」若者たち」/論座
②オンライン授業導入による問題
通信費やレジュメの印刷費などが生活費を圧迫している。
自宅にWi-fi設備が整っていない学生は、当然います。また、設備があるにしても「月○GBまで」と通信料に制限がある人もいることでしょう。
マイク・カメラ付きPCを用意するように言われた。バイトもろくにできない状況で、急に言われても・・・。
大学に設置されているPCを頼っていた学生にとっては特に辛いかもしれません。持っていない学生に、大学所有のPCを貸与してあげることはできないのでしょうか。
オンライン授業とひとくちにいっても、必ずしも授業動画を配信してくれるとは限らず、授業によっては単にレジュメをオンライン上に貼りっぱなしの先生もいる。
こうした手抜き授業のために学費を払っていると思うと馬鹿らしく感じてしまいますね。もっともそんな先生は通常の授業でもあまり熱心でないかもしれません。
ただ、通常の授業であれば授業後にその先生を呼び止めて、授業内容について深掘りする質問をぶつけることもできたでしょう。
オフラインの授業では、良い意味で先生を利用しやすかったかもしれませんが、オンライン授業ではそれができない、またはハードルが高くなってしまっています。
幼い兄弟がいて、父親も今は在宅勤務をしている。そのため、自由に声を出して授業を受けられる場所が家の中にない。かといって、感染が怖いため外に出ることもできない。
今は、家族みんなが家にいる家庭も多いかと思います。家族全員が一つのWi-fiに接続している影響か、通信速度が鈍くなるという声も。また、雑音がマイクに入らないために、家族には静かにしてもらわなければいけないなど、互いに窮屈な生活を強いられているかもしれません。
③社会の変化にともなう問題
バイトができないため学費が払えなくなるかもしれない。
営業自粛によって、真っ先にシフトを削らされたり、自宅待機を命じられるのは、非正規雇用などアルバイトの方たち。そして、その影響がもろに直撃しているのが学生たちです。
お金がなく、家賃が払えない。かといって、実家に帰省したくても、自覚症状がない状態でウイルスを地方にばらまいてしまうかもしれない。だから、実家に帰りたくても東京から出られない。
これも深刻な問題です。学費どうこう以前の問題です。
4月20日に、住居確保給付金の支給対象が拡大されているので(離職や失業者向けだったものが、在職者も対象に。4月30日からは求職要件も不要に)、確認されてもよいかもしれません。この制度は、原則3ヶ月(最長9ヶ月)の家賃を自治体および国が肩代わりしてくれるというものです。つまり、返済不要です。詳しくは、「住居確保給付金 ○○(お住いの市町村名)」で検索ください。
コロナによる営業自粛や不況で、親の収入が激減し学費が払えなくなるかもしれない。
働き世代への影響が、子ども世代まで連載しているという証拠です。国からの支援策が場当たりになっている中、丸っと包摂した支援策が出てきていない状況です。
また支援策が実はあっても、それは自分から情報を取りに行かなければ、その支援を受けられないという状況でもあります。残念ながら、役所の方から手を差し伸べてくる、というのはなかなか期待できない状況です。
いかがでしたでしょうか?もちろん、大学側もオンライン授業を開始するために、ポータルサイトを作ったり、数千人のアクセスに耐えうるだけのサーバーの増強など、大学側も大学側で出費が嵩んでいることもあるかもしれません。
ただ、どういう判断を下すにせよ、何らか説明責任の必要はあってしかるべきかと思います。
学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」による調査によると、大学生や短大生の13人に1人が退学を検討しているというデータが明らかにされました。
参照:「新型コロナ受け大学生ら13人に1人が退学検討、学生団体調査」/TBS NEWS
このままでは貧富の差によって、受けられる教育にも差が出てしまい、貧富の格差がさらに広がったり固定化される危険性が出てきます。
報道によると、明治学院大学では、遠隔授業の経費として学生に5万円を支給するそうです。でも、生活事態が困窮している学生にとっては、これでもなお苦しいかと思います。大学側が何らか学費を減免するのか、国が積極的に補填するのかをしなければ今の若者が作っていくであろう日本の未来に禍根を残しかねません。
学生への支援策まとめ
最後に、国が行なっている学費支援や奨学金をまとめてくれているサイトを紹介しておきます。
・新型 コロナウィルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ/文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20200326-mxt_gakushi01-000006193_01.pdf
・【バイト代激減の学生を救いたい】今すぐ応募できる奨学金5選ー学費を理由に退学してほしくない/株式会社Crono・note

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