自信が無い、自己肯定感が低い……転職の際に風俗嬢がメンタル面で陥りやすい問題

前回は、風俗嬢の方が昼間の仕事(昼職)へ転職される際のハードルについて、キャリアカウンセラーの方にお話を伺いました。

続いて今回は、キャリアカウンセリングに来られる風俗嬢の方が抱えがちな「自信の無さ・自己肯定感の低さ」といったメンタル面の問題にスポットを当て、キャリアカウンセラーの方がどのようなアドバイスをおこなうのかをご紹介したいと思います。

「風俗嬢=自己肯定感が低い」のではなく、夜の仕事はそうした人も働けるだけ

風俗で働く方に対しては、仕事内容のせいか、自己肯定感の低い人やメンタル面が不安定な人が多いとイメージされがちです。また、実際にキャリアカウンセリングを受けに来られる風俗嬢の中には、自分に自信の無い方、言い換えれば自己肯定感が低めの方が一定数いらっしゃいます。

しかし、それは必ずしも「風俗嬢=自己肯定感が低い」という意味ではありません。そうではなくて「夜の職業は比較的いろんな人が働ける」というだけのことです。

ただ風俗の仕事であっても、仕事の性質上、生涯続けられる人はほとんどいないでしょう。彼女達が加齢やトラブルなどをキッカケに昼職に就くことを望んだ時に、キャリアカウンセリングを受けに来られるわけです。

自己否定や依存から抜け出し、自立心をもてるように導く

自己肯定感が低い方は自分のことも他人のことも大切にすることが難しく、そのため社会とのつながりそのものも薄くなりやすいです。そのぶん自分を肯定してくれる特定の誰かに依存しやすくなり、依存状態に慣れてしまうと自分のやりたいことや自分が望む働き方について考えることが難しくなってしまいます。

依存が強くなるほど、自分の考えよりも依存相手の意見に盲目的に従ったり、無意識に自分ではなくその人がどう思うかを優先して考えたりする危険があります。また、依存先がない場合は、自分を無価値だと思い込みさらに自己否定が強くなってしまう恐れもあります。

そういった場合に、まずキャリアカウンセラーは相談者と似た状況や環境、あるいは性格の「自立して人や社会との関わりが上手くいっているケース」を紹介していきます。似たケースを通して「あなたは社会から必要とされる人間だ」ということを伝えていくことで、人と関わる喜びや、「失敗しても受け入れてもらえる」という安心感を少しずつ知ってもらうのです。

何故わざわざ「似たケース」を使うのかというと、自己肯定感が低いうちにキャリアカウンセラーが直接本人に「あなたは必要とされていますよ」ということを言うと、今度はキャリアカウンセラーに対する依存心が生まれてしまう場合があるからです。

キャリアカウンセリングは本人が自信をもち、自立できるようになることが目的です。この場合、相談者が「自分の力で就職活動を進めていく」という流れを作っていくのがキャリアカウンセラーの役割になります。相談者の方にも、単に就職先が見つかれば良いのではなく、そうなることこそが目標だと理解してもらうことが重要です。

まずは“セルフイメージ”に良いところや強みを加えていく

「自己否定や依存から抜け出し、自信と自立心をもって自分の力で就職活動を進めていく」というのは、もちろん簡単なことではありません。そこでキッカケとなるのが“セルフイメージ”です。

セルフイメージとは「自分が自分自身のことをどう思っているか」ということです。このセルフイメージは、他人とコミュニケーションをおこなう時にとても大切になります。そのため、相談者に自信をもってもらう中で、本人の性格の良いところ、強みなどをセルフイメージに加えていくことが重要になります。

他人から自分の良いところを教えてもらったり、肯定されたりした体験が少ないと、セルフイメージが上手くできあがりません。セルフイメージが曖昧だと自分自身のキャラがわからないため、人とのコミュニケーションする時にどのように振る舞ったらいいのかわからなくなるのです。

例えば、周りの人から「優しいよね」「話すのが上手いよね」「気遣いができているね」というふうに言われて育つと、自分が人と接する時に自然と「優しく話が上手い、気遣いのできる自分」として振る舞いやすくなります。

キャリアカウンセラーは相談者と話す中で見えてくる本人の良いところを、一つひとつ「○○なところがいいですね」という形で、本人に自覚できるようにします。そうすることで話し方や振る舞いなど、本人の良いところをセルフイメージに加えていくのです。

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