発達障害と子育てについて。見直しておきたい親の思い込みと心の問題

前回までは発達障害と就職・就労について、「どんな相談が多いのか」「就労に向け、キャリアカウンセラーがどのようなアドバイスをおこなうのか」を扱ってきました。今回は「発達障害児を持つ親の心の問題」について、キャリアカウンセラーの方にお話を伺いました。

発達障害だと気付くタイミングは?

発達障害を持つ子の子育てにおいて重要なのは、親が子どもの発達障害にいかに早く気付き、受け入れてあげられるかという点です。子どもが発達障害だと気付くタイミングは人それぞれですが、兄弟がいる場合は上の子や下の子と比較して「どうして同じようにできないんだろう?」という形で気付くことが多いようです。

また、ADHDなどで多動が出やすい子であれば、学校などに入ったタイミングで、授業中じっと座っていられない、忘れ物が非常に多いといった事柄から気付くこともあるようです。

しかし、何でもかんでも「発達障害かも」と思うことも危険です。もし「暴力を振るう」「暴言を吐く」など激しい行動が見られる場合は、発達障害だからというよりは、子育てが上手くいっていないことや、家庭の不和などによる子どものストレスの発露であるケースもあるからです。

必ずしもそうだとは言い切れませんが、アスペルガー症候群の傾向が強い子は「みんなと一緒に」ということが極端に苦手なケースが多いです。そうした部分で違和感を覚えたら、早めにカウンセラーなどの専門家に相談してもよいでしょう。

子どもがのびのびいられる環境、個性を発揮できる居場所を見つけることが大切

日本社会は「空気を読む」「みんな一緒に」という同調圧力が強く、子どもも幼稚園や学校の早い段階からそれを強いられることが少なくありません。こうした環境は、発達障害の子にとって大変生きにくく、うつ病などにもなりやすいと考えられています。

そのため、最も大切なのは子どもが個性を発揮できる場を見つけてあげること、それに合わせて環境を整えてあげることです。発達障害があっても、のびのびとしていられる環境では症状が軽くなりやすいですし、個性が良い方向に伸びやすくなります。

例えば、日本で生きづらさを抱える発達障害の子も、留学をすると症状が軽くなる場合もあります。外国では、言語や民族によってコミュニケーションが異なるのは当たり前ですし、わからないことは素直にわからないと言うことができます。

特にアスペルガー症候群などは「空気を読む」というコミュニケーションが最も向いていないため、日本にいると悪目立ちしまいやすいのです。

子ども自身も悪気があって空気を読まなかったり、コミュニケーションを間違えたりするわけではありません。親が発達障害であることに気付いて、伝え方などを工夫してあげたり、ストレスの少ない環境を整えてあげたりすると改善していくことも多いです。

まずは子どもが発達障害だと受け入れるところから

しかし、ここでハードルとなるのが親側の心の問題です。「自分の子どもが発達障害であること」を受け入れることは、親にとっても簡単ではありません。

「子どもが発達障害であることを周囲に知られたくない」という人もいれば、どうしても「定型発達(発達障害ではないこと)の子と比較して悩んでしまう」という人もいます。

こういった悩みを抱えているなら、心理カウンセラーや臨床心理士に相談してみるのもよいでしょう。学校にスクールカウンセラーなどがいる場合は、そちらで相談できる場合もあります。

注意していただきたいのは、発達障害の子を持つ親をターゲットにしたスピリチュアル的なビジネスやセラピーなどもあるということです。少しでも怪しげだと感じる団体は避け、病院やカウンセラーなど専門家に相談するようにしましょう。

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