離婚後の女性の仕事の問題について、実例から解決の糸口を考える

さまざまな事情から離婚を考えることは珍しいことではありません。しかし、離婚した場合には「その後、仕事はどうするのか」という問題がついてきます。

男性の場合、仕事のキャリアは離婚前とそれほど変わらず、あまり影響を受けないことがほとんどです。しかし、女性は専業主婦をしていたなら離婚後は仕事を探さなければなりません。子どもがいるなら、親権は母親にわたるケースが多いため、シングルマザーとしてやっていけるよう転職も含め働き方自体を考える必要があります。

前回の記事では、女性が離婚した際に仕事の面で起こりやすい問題や、離婚がキャリアにどのような影響を与えるのかについて、キャリアカウンセラーの方に伺ってみました。

今回は「離婚とキャリア」の問題に悩む女性に対し、キャリアカウンセラーの方が実際によく聞かれる相談内容やアドバイスについて、具体例を挙げながらご紹介していきます。

「離婚したいけど踏み切れない」場合は、何が“足かせ”になっているか整理する

「もう離婚したい」と思っていても、実際に離婚に踏み切るのはなかなか勇気が必要ですよね。離婚にはさまざまな問題が絡んでいるため、「離婚したいけど仕事が……」というご相談の場合、まずは何が“離婚の足かせ”になっているのかを整理していきます。

離婚後の収入の問題なのか、離婚後の仕事の問題なのか、子どものことなのか……など、さまざまなケースがあります。

キャリアカウンセラーはカウンセリングを通して、ご本人が抱えている問題を一つひとつシンプルにしていきます。そして、それぞれの問題に応じて対応策を考えていきます。問題が具体的になれば、必要なのがスキルなのか、環境の変化なのか、などの対応策も具体的に整理していくことが可能です。

例えば、「お金の収支を考えるのが苦手で、離婚後の生活や仕事の形を思い描くことができない。だから離婚したいけど、その後やっていける自信がない」という方もいらっしゃいます。

そうしたご相談であれば、一緒に家計を見直すことでしっかり家計が回るようアドバイスするところから始めることもあります。

そして、こうした問題のときほぐしは、ご本人が“生活の中で何を大切にしたいのか”を整理することにもつながります。どの問題をクリアにし、どんな対策をとっていけば、離婚後の生活や仕事が希望をもって安心して進められそうか、ということが見えてくるのです。

離婚の手続きと離婚後の仕事の準備の同時進行は負担が大きい

とは言え、離婚の手続きを進めながら、同時に離婚後の仕事についても準備するというのは非常に負担が大きいものです。

離婚というのは、それだけでも相当なエネルギーを使うもの。さらに状況によっては、離婚するまでは「毎日旦那さんと喧嘩が絶えない」「ずっと家の中がピリピリしている」「両親の不仲によってお子さんの情緒が不安定」という場合も少なくないため、落ち着いてその後のことを考える余裕がないかもしれません。

余裕のない状態がずっと続いていると、当然、離婚後の仕事の準備まで手が回りません。その結果、仕事が決まらないからなかなか離婚することもできず、辛い状況のまま時間だけが過ぎていってしまうパターンにはまり込んでしまうのです。

こうなると、離婚そのものに対しても、離婚後の仕事の準備に対してもご本人のモチベーションが下がってしまいます。こうならないように、アドバイスすることが大切です。

家庭の状況が悪い場合には先に離婚を勧めるケースも

例えば、お話を伺っていて、旦那さんからのDV(ドメスティックバイオレンス)があるなどでは、先に離婚することを勧めることもあります。もちろん、離婚後の仕事を見つけてから離婚する方がスムーズですし不安もありませんが、それ以上に“一刻も早く逃げた方が良い”というケースも現実には存在します。

そうした場合、離婚前からパートをしているということであれば、パートの時間を増やしてやりくりする方法を考えることもありますし、専業主婦ですぐには働けないなら生活保護をもらうという方法もあります。

また、DVなどで家庭状況が深刻だったりご本人の精神状態が不安定だったりする場合は、まずはその問題を解決できるように、より専門的なリファー先におつなぎする場合もあります。

ご家庭の状況やご本人の仕事の状況などによって、解決方法は違います。このやり方がスタンダード、万人に当てはまる、というものはありません。キャリアカウンセラーはご本人にできるだけ無理がなく、その方にとって最善だと思える方法を一緒に考えるお手伝いをします。

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