アスペルガー症候群と就職について。キャリアカウンセラーが語る発達障害の方へのアドバイスと相談先

前回は「アスペルガー症候群と就職」について、「どういった問題があるのか」「どういった相談が多く寄せられているのか」をキャリアカウンセラーの方にお伺いしました。今回は具体的に「発達障害に関する就労相談に対し、キャリアカウンセリングではどんなアドバイスをするのか」をご紹介していきます。

前回の記事に続き、発達障害の中でも相談の多いアスペルガー症候群を中心にご紹介します。

勧められるままに行動しがち。行動する前に相談を

就職の際、アスペルガー症候群の方に多い問題のひとつが、「他人に勧められた会社に就職して、失敗してしまう」というケースです。

アスペルガー症候群の方は、素直で言葉をその通りに理解する傾向があります。そのため周りから何かを強く勧められたりすると、それに素直に従ってしまうケースが起こりやすく、トラブルに発展しやすくなっています。

就職に関しても「自分に合っているか」ではなく、「良い会社だと言われた、ここを受けたらいいと言われた」という判断で進めてしまう場合があるのです。

これは就労面だけでなく「セールや新聞の勧誘などを断れない」というような面でも起こりがちです。こういったトラブルを未然に防ぐために家族や周囲の人にできることは「本人が行動する前に家族(あるいは周囲の人間)に相談するよう約束する」ことです。もちろん何でも相談してからというのでは大変ですので、「5万円以上の買い物をする時は必ず相談する」というような取り決めが効果的ではないでしょうか。

就職活動の場合であれば、「応募する前に一度相談する」という取り決めでもよいでしょう。その際相談を受ける家族や周りの人も、本人の意志や性質と合っているかなどを丁寧にひもといて話を聞くことが大切です。

相手がどういう気持ちなのか一つひとつ丁寧に説明していく

就職後に多い相談についてもみてみましょう。

アスペルガー症候群の特徴として、「人の気持ちが想像できない」「空気を読む、察するということができない」というものがあります。そのためキャリア相談においても、「どうして上司にイライラされているのかわからない」という相談をされる方がいらっしゃいます。

しかし、相談者の話を聞いていくと上司が怒るのはもっともである場合も多く、それをわかっていただくために図を描いたり、ストーリー仕立てにしたりして説明します。上司が怒る理由が一般的なものであるということ、そして上司はその時どのような気持ちであるかということを相談者にとって一番わかりやすい方法で伝えていきます。

ただし、アスペルガー症候群の方はひとつのケースを学んだからといって、それを別のシチュエーションに応用することが苦手です。少しシチュエーションが変わるだけで似たような失敗をしてしまうこともあるため、そういった場合でも根気よく説明していくことが大切です。

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